学校選びから環境選び、習い事までさまざまな選択肢がある都心での子育て。
選択肢が多いことはメリットではありますが、逆に多すぎて、初めて子育てをする人にとってはわかりにくいことも多いですよね。
そこで、子育て中のファミリーの住まい選びを数多くサポートしてきたイーエムラボの榎本さんに、「都心での子育ての基本知識」について伺いました。
profile…榎本氏/イーエムラボ 港区、文京区、台東区、千代田区、渋谷区を特に得意エリアとする、英語対応も可能な不動産仲介エージェント。自身も2児の母で、都内の教育環境のアドバイスに定評がある。不動産のノウハウをまとめた「不動産のトリセツ」も運営 http://fudousan-torisetsu.com
由緒ある人気校のほか、先進的な取り組みで注目の学校も
ーよく問い合わせのある人気校はありますか?
有名なのは、やはり文京区の「3S1K」とよばれる、誠之小学校、昭和小学校、千駄木小学校、窪町小学校でしょうか。
このエリアの不動産市場は需要と供給がアンバランスなため、例えば先日も誠之小の学区の物件に問い合わせをしたのですが、1日に8件も内見が入っており、反響が凄いです。賃貸・売りに出ても直ぐに決まってしまうほどの激戦区ですね。
他には茗荷谷にある窪町小も人気があります。大正15年と歴史のある小学校です。文京区は東大キャンパスを初めとした多くの学校が存在しており、意識せずとも教育に熱心な親御さんたちが集まってくるため、やはりエリア全体が人気ですね。
また、文教地区に指定されている場所が多く(東京大学、お茶の水女子大学、拓殖大学、跡見学園女子大学の周辺)街の環境の形成に規制を設けていることで、良好な住宅地が残っていることも人気の背景のひとつかもしれません。
※学区は細かく分かれているのでこちらをご確認くださいhttps://www.city.bunkyo.lg.jp/kyoiku/kyoiku/gakko/elementaryschool/tuugaku.html
ーどういった理由で人気なのでしょうか?
誠之小学校の場合、第六中、日比谷高、そこから東大へと有名校のルートで進学していくことが多いとされていますが、公立ルートだけではなく、私立中学受験率は区内でもトップクラスのようです。もし万が一私立の受験で落ちてしまっても、「誠之小エリアであれば六中がある」と思うと、気持ちも楽になるのではないかと思います。親御さんも教育熱心な方が多いですし、この周辺には塾や習い事も充実していますよ。
また、文京区はショートステイなどの行政の補助も充実しています。一方港区は病児保育も助成金の対象になっているなど、区によって補助の内容や条件は異なりますので、そのあたりも比較してみるとよいでしょう。
ー激戦区というわけですね…入学の条件も厳しいのでしょうか?
これらの人気校に、学区外に住みながらも入学をする「越境入学」を希望される方もいらっしゃるのですが、最近は越境入学ができない学校も増えています。これらの人気校を希望するには、まずその学区内に住むことが前提となると考えたほうがよいでしょう。最近では、今年(令和2年度)から千代田の人気校である麹町中学校なども、越境入学がNGになっています。
人気の学区内で希望の物件を見つけるには時間がかかります。また、越境などのルールも変わる可能性がありますし、特に進学したい中学校、高校がある場合は、同じ小学校の学区の中でも、中学校になると別の学区に分かれる住所もあります。これらの人気校への入学を検討される場合は、なるべく早めに、そのエリアや最新の教育事情に詳しいエージェントに相談することをおすすめします。
ー文京区以外ではいかがでしょうか?
港区はやはりおすすめです。大使館・公館が多く存在し、外資系企業も多いことから、外国人児童が多く、インターナショナルな環境ですので、教育施設はもちろん、子育ての環境としても非常によいと思っています。
港区のような都心からは少し離れますが、三鷹にも注目しています。三鷹市は保育所や学童保育施設が多いことで知られていますし、乗り換え無しで新宿、東京まででれるので、アクセスも良いです。吉祥寺にも近いので、若いファミリー層の方には人気のエリアです。
さらに東京から離れて、横浜市青葉区もおすすめです。青葉区は横浜市の中学生の私立進学率が高いエリアでもあり、習い事や塾も充実しています。低層の建物が多く、歩道や街路樹などもよく整備されており、静かな環境で子育てをしたい方にはぴったりです。
また、武蔵野市にある武蔵野市東学園という学校は健常児と自閉症児がともに学ぶ「混合教育」で知られています。所得によっては行政から受けられる手当や助成に制限もありますが、実際に障害のあるお子さんをお持ちのご家庭のお話によると、「障害のある子供、大人がいる社会が特別ではないという環境なんだ」というお話が非常に印象的でした。
由緒ある子育てエリアの他にも、台東区の蔵前小学校など、積極的に新しい取り組みをされている学校にも注目しています。2019年に完成した新校舎は隈研吾さんが建築されたことでも有名でとても綺麗ですし、エリアとしても下町でありながらも可愛いオンリーワンのお店が沢山存在するエリアですので、個人的にオススメです。
ーインターナショナルスクールについてはいかがでしょう?
日本人ファミリーのお子様でもインターナショナルスクールに通学する例が増えていますよね。森ビルの再開発でできる予定の虎ノ門のインターナショナルや、東京駅近くにも開発予定があるなど、都心ではこれからさらに増えていく予定です。
単純に英語を喋れる人材を育成することが良いというわけでなく、グローバルスタンダードの高い教育水準を提供することが可能になること。これが、子どもたちの将来や、これからの日本にとってはとてもよい変化だと思っています。
ー都心のお子さんは習い事もたくさんされている印象。どんなものが人気ですか?
都心は塾や習い事がすごく多いですよね。地方よりは月謝も高く、月1万円以上する習い事を複数利用されているご家庭もいます。人気なのは、スポーツだと水泳、サッカー、アイスホッケー、野球など。塾は、1万5000円くらいのものを3歳くらいから通わせている方も多いです。リトミックや、ベビーヨガなども人気ですね。最近では、小学校で義務教育に入ったこともあり3〜4年生くらいからプログラミングの塾に通わせる方も多いです。プログラミングは、他の習い事よりも費用が高い傾向にあります。
もちろん、なんでも塾に通わなければいけないわけではありません。それらの教育をしっかりとやってくれる幼稚園・小学校を選ぶことで、放課後の時間にも余裕ができることもあります。
ほかには、社会人学、プログラミング教育、お金の勉強など、先生が子ども扱いをしないような習い事も増えていますから、個人的には学校では習えないようなこと、そして子ども自身が面白いと思ったものを学んでもらうのがよいのでは、と思っています。
ー学校のこと、お金のこと。考えることがたくさんありますね…
忘れてはならないことは、「どこどこの学校を卒業したから安泰」という時代ではないということ。また、こう生きてほしいなぁ、というのは子どもの意思や状況など、あとから変わったりもしますよね。学校選びだけでなく、暮らす地域や環境、そこで得た経験を通して、自分のアイデンティティーを持った、何処にいても強く生きていく力をもった大人に育っていってほしい。
そのためには、学校という「点」だけではなく、塾や習い事などの校外の学びの場所や図書館などの公的施設といった子どもの居場所など、総合的に考えることが必要だと思います。
実は家探しは、そういった「家族でそう暮らしていこうか」という今後30年を話し合うのにぴったりなテーマでもあるんです。不動産エージェントとして、そういった生活のベースとしての街選び、家選びをプロフェッショナルとしてお手伝いしていきたいです。
ご家族に寄り添って、教育環境という視点からも住まいの提案をしてくれる榎本氏も使っている、エージェント提案型家探しサイト「Agently」で、あなたも住宅のプロと一緒に家探しをスタートしてみませんか。
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